転職の掟

転職で後悔しないために知っておきたいこと

離職率が高い会社をどう捉えるべきか

   

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企業の働きやすさを測るひとつの指標に「離職率」がある。離職率とは、字面からもわかるように「ある時点でその会社で仕事に就いていた労働者が、一定期間経過後に(たとえば1年や3年)その職場を離れている割合」を示したものだ。働きづらい職場なら辞める人が多くなるので離職率は高くなるし、逆に居心地の良い職場なら離職率は低くなる。転職候補に上がっている企業の離職率が高過ぎると、「ブラック企業なのでは?」という推定が働くというわけだ。

たまに、この離職率にかなり敏感になりながら転職活動をしている人を見かけることがある。たしかに、ブラック企業に転職するのは誰でも嫌だし、社員が次々と辞めていく会社に入って大丈夫なのかと不安になるのは自然なことだ。私自身の感覚としては、3年後離職率が20%以上の会社については「注意」が必要だと思う。

もっとも、こういう会社への転職が絶対にダメだというわけではない。たとえば、一定期間で社員が「卒業」という形で辞めていくのが普通の戦略コンサルティングファームや、そもそも3年会社が存続するかすらあやしいスタートアップ、あるいは人材の流動性が高いのがあたりまえになっている一部の業界(インターネット業界など)については、離職率を云々言ったところであまり意味がないからだ。これらは会社・業界自体の特徴なので、そういった会社・業界で働きたいと思っているのなら、離職率の高さを気にしていてもしょうがない。他の基準で会社を判断する必要がある。

業界ごとにこんなにも違う離職率

一口に「離職率」と言っても、実は業界ごとにかなり数字が違う。厚生労働省が新卒の学生を対象に3年後離職率を定期的に発表しているが、最新の統計だと「教育、学習支援業」が48.8%、「宿泊業、飲食サービス業」が48.5%、「生活関連サービス業、娯楽業」などが45.0%と50%に迫る勢いで高いのに対して、「鉱業、採石業、砂利採取業」は6.1%、「電気・ガス・熱供給・水道業」は7.4%、「製造業」などは15.6%と「新卒が3年で3割辞める」という数字に比べるとだいぶ低い。これらの数字はあくまで新卒者対象の離職率で中途採用の数字は含んでいないが、離職率が業界によってかなり違うということはこの数字からも伺える。

離職率の高い業界は、いずれも「ブラック」と言われることが多い業界だ。これらの業界は、企業という枠を超えて業界構造自体に大きな歪みがあると言わざるをえない(慢性的な人手不足や、低賃金など)。こういう業界で働く場合は、極端な話まともに働ける会社のほうが少ないということになるので、それなりに覚悟が必要になる。

離職率が低ければいいというわけでもない

もっとも、離職率さえ低ければそれだけでとても良い会社かというと、必ずしもそうではない。離職率が低い会社は、それだけ人材の流動性が少ないことを意味している。ゆえに、組織が旧態依然として古い体質のままであることも少なくない。そもそも、そういう会社には中途採用ではなかなか入りづらかったりもするし、仮に入れたとしても「新卒プロパーが席巻する世界」では転職組は働きづらいと感じることもある。

また、離職率が低いのは職場環境が「ぬるま湯」状態になっているせいで、現場の社員にまったくやる気がないという場合もある。仕事にやりがいを求める人であればこういう職場で働くのは苦痛だろうし、特にそういう気持ちがなくてもこういった「ゆるい」職場でずっと働いていると、まったく人材価値のない人間になってしまうので注意を要する。離職率が低い=最高の企業!と即断するのではなく、離職率の低さはひとつの指標として、なぜ離職率が低いのか、企業カルチャーはどうなっているのか、自分の人材価値は高められるのか、など総合的な視点で企業を判断するようにしていただきたい。

業界平均を逸脱している企業には要注意

離職率の捉え方についてひとつシンプルな基準を提案するなら、とりあえず「離職率が業界平均を逸脱している企業」は警戒するようにしたほうがいいだろう。前述のように、業界によって社員の離職率にはかなりのバラつきがあるものだが、そういった業界平均を逸脱してさらに離職率が高いということは、その企業には何か特有の問題があると考えられる。その理由について自分なりに納得できない限りは、そのような会社への転職は取りやめたほうがいいかもしれない。

離職率の調べ方

ところで、転職先の企業の離職率を知りたい場合は、どのようにして調べればいいのだろうか。方法は大きくふたつある。ひとつは、東洋経済新報社が出している「就職四季報」という本を参考にするという方法だ。本書には、企業ごとの3年離職率が掲載されている。カバーの範囲は大手〜中堅と呼ばれる企業ぐらいなので、転職候補にしている企業が必ず載っているという保証はないのだが、まずは本書でさがしてみるといいだろう。ちなみに、本書に企業自体が掲載されているからと言って、離職率が必ず掲載されているというわけではないので注意してほしい。ただし、載せないということは回答していないという意味なので、少なくともそういう企業の離職率が業界平均より低いということは普通はないだろう。

もうひとつの方法は、転職エージェント経由で探りを入れるというものだ。就職四季報に載っていないような企業であれば、とりあえずエージェントに聞いてみるといいだろう。これは聞き方の問題だが、あえて離職率ではなく定着率(=100% – 離職率)という言葉を使うようにすると不思議とポジティブな感じになるのでそうやって聞いてみるといい。この質問で引き出せるのは明確な数字ではなくそのエージェントの肌感覚ということになるが、それでも何も聞かないよりはずっとマシである。

おすすめの転職エージェント

インテリジェンスDODA

求人数は100,000件、そのうち80%は非公開求人。総合型の転職エージェント。規模はリクルートエージェントに次いで2位。キャリアコンサルタントによるサポートは模擬面接を実施してくれるなど他社と比較しても厚い。とりあえずスタンダードに転職を検討するのであれば、まず登録しておきたいうちの一社。

 

私の友人の中にもDODA経由で内定を取った人がいる。率直に印象を聞いてみたところ、「色々とこちらの個人的な相談にも乗ってくれてよかった」ということで満足していた。その後彼は内定を辞退して転職活動を終えるというエージェントとしては不実の結果となったのだが、その時の対応も丁寧でよかったとのことだった。

パソナキャリア

転職エージェントへの参入が後発なため、規模は大手エージェントに比べると小さいものの、キャリアアドバイザーの教育レベルが高いという点でおすすめできるエージェント。

転職エージェントを使っていて嫌な気分になるのは、内定後に強引にクロージングを迫られたり、自らのノルマ達成のために「さっさと転職させてやろう」という魂胆が見えた時だろう。全員がそうだというわけではないが、たとえばリクルートエージェントなどは社風的にもそのような「イケイケ」なエージェントが少なからず在籍する。それに対して、パソナキャリアのエージェントは落ち着いたアドバイザーが多い印象がある。落ち着いて転職活動を進めたいという人にはおすすめできる。

レバテックキャリア

IT・Webエンジニア案件に特化した専門型転職エージェント。求人はすべてIT・Web系。それゆえ、担当のキャリアコンサルタントのIT専門知識は総じて高い。総合型の転職エージェントの場合、一応専門ということになっている人が担当してくれるものの、実際には担当者の知識が噛み合わずストレスを感じることがある。レバテックキャリアの場合は基本的にそのような心配はない。業界用語や専門用語もそのまま通じる。

紹介数については大手ほどではないものの、その人の人となりに応じて厳選して求人を紹介するという方針をとっているので、総合型では紹介されない案件を紹介してもらえることも少なくない。志望がIT・Web系と決まっているのであれば、ぜひ活用を検討したいエージェントのうちのひとつだ。

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