転職の掟

転職で後悔しないために知っておきたいこと

ベンチャーに転職する時に気をつけておきたいこと

      2016/02/15

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転職先を検討している際に、いわゆるベンチャー企業が候補に浮上することがある。ベンチャーに惹かれる理由は人それぞれだ。ある人は大企業の何をするのにも会議や上司の承認が必要なスピードの遅さや仕事の裁量の狭さに嫌気がさしてベンチャーで働いてみたいと考えるし、ある人はストックオプションとIPOによる一攫千金を夢見てベンチャーを目指す。あるいは、純粋に会社のビジョンやビジネスモデルに強く共感し「その会社を成長させたい」という思いでベンチャーへの転職を考える人もいるかもしれない。

いずれも夢のある話だとは思うが、ベンチャーの転職は必ずしも浮いた話ばかりではない。言うまでもないことだが、その語源からもわかるように(ベンチャーのventureはadventureであり、ベンチャー企業とはそもそも和製英語だ。海外では普通start upという)ベンチャー企業とは不安定な存在だ。ほとんどのベンチャー企業は10年後には消滅している。Facebookでベンチャー企業へのジョインを高らかと報告した人が、1年後には会社が無くなって根無し草になっていた、なんてことは本当によくあることだ(きっとあなたもひとりぐらい周りでそういう人を見つけられるのではないだろうか)。一方で、IPOで一財産作れる人は本当に一握りの人だけである。

それでも挑戦してみたい!と考えている人のために、今回はベンチャー企業に転職する際に気をつけておきたいことについて書いてみたいと思う。

こんな人はベンチャーに向いていない

そもそもの前提として、ベンチャーで働くのに向いている人と向いていない人がいる。向いていないのにもかかわらず、なんとなく転職してしまうとつらい未来が待っている。ここで注意が必要なのは、大企業で働くのが嫌だからと言って、その人が必ずしもベンチャーに向いているとは限らないということだ。大企業とベンチャーは別に相互補完関係にあるわけではないので、その点は勘違いしないほうがいい。

向いていない人のパターン(1): 明確な指示がないと動けない

まず第一に、明確な指示がないと何をすればいいかわからなくなってしまう人はベンチャーで働くのには向いていない。ベンチャーの多くは指示系統が未発達、というか存在しないことも多いので、自分が何の仕事をするべきかは会社の状況を見て自分で判断し、自分で決定して進めなければいけない。この状態を「広い裁量があたえられて嬉しい」と考えるか、「何をすればいいのか不明確で困ってしまう」と捉えるかかで、その人がベンチャー向きかどうかが大体わかる。

ベンチャーでは明確な仕事の指示だけでなく、指導も受けられないことが少なくない。ほとんどすべてはOJTで、実践を経ながら業務能力は滋養していく必要がある。まず研修を受けて……というスタイルの能力開発を望む人は、ベンチャーは避けたほうが無難だろう。一方で、手を動かしながら学んでいくのが得意な人はベンチャー向きだと言える。

向いていない人のパターン(2): 自分の職分にこだわってしまう

ベンチャーの多くは、とにかく人手が足りなくて困っている。ゆえに、◯◯職といった自分の職分とは関係のない仕事をやらなければならないことも非常に多い。「俺はサーバーサイドエンジニアとして入社したんだ、フロントエンドのコードは一行たりとも書かないぜ!」という態度を頑なに取る人はあまりベンチャーには向いていない。その業務がプロジェクトの遂行上必要で、そして自分以外にそれをやる人がいないというのであれば、たとえ自分の職分とは関係ないものでも自分でやるしかない。

上で例に挙げたような、エンジニアがまったく未経験の技術を一から勉強してやる羽目になる、ぐらいのことはむしろよいほうで、実際にはもっと大きな乖離を乗り越えなければならないこともある。たとえば、私の友人はとあるフードデリバリーを主サービスとするベンチャーにエンジニアとして入社したが、最初にやった仕事は弁当の配達だったそうだ。営業の電話もかけたし、請求書の発行もやったという。こういう状況を「色々経験できて楽しい」と思える人なら、ベンチャーに向いていると言える。

向いていない人のパターン(3): カオス状態が苦手である

多くのベンチャー企業には、カオスが存在している。普通のまっとうな企業なら当然ルール化されていたり、整頓されていたりしなければならないものがぐちゃぐちゃな状態で放置されていることが少なくない。「とりあえず動く」ことを最優先にして書かれた読解不可能なコードや、本来法律上整備されていなければならない社内規則の不存在(当然ながら厳密には法律違反)、前任者が突然消えたことで引き継ぎが行われずに放置された業務など、大企業から見たら「ありえない」状態が当然のように放置されている。そこまで手をまわしている余裕がないのである。

こういったカオス状態にとりあえず飛び込んで、整頓できるものは整頓し、諦めるものは諦め(こういった割り切りも重要だ)、その上に業務を構築できる人でないとベンチャー企業で働くのは難しい。もちろん、どの程度カオスが放置されているかはそのベンチャーのステージに依る。アーリーステージに近づくほど、当然ながらカオスは増えていく。制度に従うことよりも、制度を作ることに喜びを感じられる人ならベンチャー向きだと言えるかもしれない。

向いていない人のパターン(4): 時間外労働をしたくない

これは個人的にはどうかと思うのだが、残念ながら現実には、多くのベンチャー企業はハードワークで、仕事とプライベートの境界がなく、残業や休日出勤がデフォルトになっている。こういったハードワークを許容できないと、ベンチャーで長期的に働いていくのは難しい。傾向として、toC型のサービスを主力ビジネスにしているベンチャーは特に残業や休日出勤が多いと思っていい。逆に、toB型のビジネスが主力の会社だと、平日の残業はともかく土日は基本的に休日が確保できるというところもあるという。このあたりは事前に面接などで正直に聞いてしまうのもアリだと思う。「自分は効率重視で働きたいので……」という枕詞をつけて質問すれば、特に減点されずに聞き出すことができる。

ベンチャーに転職した後のキャリア

前述のように、ベンチャー企業のほとんどは10年後には消滅している。そう考えると、転職先のベンチャーにいられなくなった場合にどうするか、つまりベンチャーに転職した後のキャリアもなんとなく考えておく必要がある。

ベンチャーを辞めたあと、その人たちがどうしているかは人それぞれだが、一応パターンはある。一番多いのは、また違うベンチャーに参加するというパターンだろう。そうやってベンチャーとベンチャーを渡り歩いていけば少なくとも当分は食っていくことはできるし、もしかしたら大きくあたって一財産作れることもあるかもしれない。また、他には自ら起業したり、あるいは個人事業主(フリーランス)としてやっていくという人たちも結構よく見かける。「いつかは独立」と考えているのであれば、ベンチャーに行った経験はそれなりに活きることになるだろう。

中には、大企業からベンチャーに転職し、その後また大企業に戻る、という人もある。これは要は「やっぱりベンチャーは向いてなかった」という人たちだ。たまに、大企業からベンチャー企業への転職は片道切符で一度ベンチャーに転職したらもう大企業には戻れないと思っている人がいるが、実はそういうわけでもない。対象が新卒採用中心文化の企業でなければ、あとは実力次第で大企業へのカムバック転職は可能だ。中にはベンチャーでの経験を元にして、大企業で活躍しているという人もいる。だから、ベンチャーをキャリアの墓場のように考える必要はまったくない。

ストックオプションなどは事前に確認

ベンチャーといえば上場して一攫千金、というイメージがあるが、ベンチャーに入りさえすれば全員が上場時に一攫千金を実現できるわけではない。上場時にストックオプションか株式そのものを保有していない限り、基本的に懐には1円も入らないので注意が必要だ(ボーナスぐらいはあるかもしれないが、上場時のキャピタルゲインに比べれば微々たるものだ)。

こういったインセンティブについて確認しないままベンチャーに入ると、ただ働きまくった挙句何も得ることができないというただの「やりがい搾取」で終わってしまう。一攫千金を求めてベンチャーに転職するのであれば、必ず参加する前に確認したい。ちょっと前に東京カレンダーの「東京人生ゲーム」という連載が話題になったが、その中に主人公がベンチャー企業に参画するものの経営者と事前合意していなかったのでストックオプションがもらえなかったというエピソードがあった。創作なら別にこれでもいいが、現実に起こると悲惨以外のなにものでもないので注意してほしい。

もっとも、転職と同時にストックオプションが付与されるというケースは普通あまりない。ある程度の期間、実際に業務をしてから貢献度に応じて付与というのが普通なので、入社前の時点では信頼関係に基づいて「ストックオプションの付与がありうる」ことの言質を取るぐらいが限界だろう。このあたりは経営者と従業員の信頼関係の問題でもある。サイズが小さいベンチャーだからこそ、経営者が信頼できるかはよく見極めたいところだ。

よいベンチャー企業の探し方

ベンチャーを転職先として探す場合、一番確実でハズレがないのは結局は人の紹介、つまりコネである。特に、本当に立ち上げ期のベンチャーの場合、転職エージェントに紹介料を払ったり、転職サイトに案件を載せたりする資金はないので採用は基本すべて人の紹介ということになる。こういう早い時期に参加できるとストックオプションなどのインセンティブの面ではかなり有利になるので、一攫千金が目的なら基本は人の紹介をベースに探してくとよいだろう。

一方で、まったくコネがないという場合は転職エージェントに希望を出してみるというのもありだ。エージェントの成約料が払えないようなアーリーステージの会社はこの方法では見つけられないが、伸び盛りのベンチャー企業を紹介してもらうことは可能だろう。特に、金銭面のインセンティブではなくベンチャーの仕事それ自体に魅力を感じているというのであれば、転職エージェント経由でも十分自分の目的に合致したベンチャー企業を探すことは可能なはずだ。

おすすめの転職エージェント

インテリジェンスDODA

求人数は100,000件、そのうち80%は非公開求人。総合型の転職エージェント。規模はリクルートエージェントに次いで2位。キャリアコンサルタントによるサポートは模擬面接を実施してくれるなど他社と比較しても厚い。とりあえずスタンダードに転職を検討するのであれば、まず登録しておきたいうちの一社。

 

私の友人の中にもDODA経由で内定を取った人がいる。率直に印象を聞いてみたところ、「色々とこちらの個人的な相談にも乗ってくれてよかった」ということで満足していた。その後彼は内定を辞退して転職活動を終えるというエージェントとしては不実の結果となったのだが、その時の対応も丁寧でよかったとのことだった。

パソナキャリア

転職エージェントへの参入が後発なため、規模は大手エージェントに比べると小さいものの、キャリアアドバイザーの教育レベルが高いという点でおすすめできるエージェント。

転職エージェントを使っていて嫌な気分になるのは、内定後に強引にクロージングを迫られたり、自らのノルマ達成のために「さっさと転職させてやろう」という魂胆が見えた時だろう。全員がそうだというわけではないが、たとえばリクルートエージェントなどは社風的にもそのような「イケイケ」なエージェントが少なからず在籍する。それに対して、パソナキャリアのエージェントは落ち着いたアドバイザーが多い印象がある。落ち着いて転職活動を進めたいという人にはおすすめできる。

レバテックキャリア

IT・Webエンジニア案件に特化した専門型転職エージェント。求人はすべてIT・Web系。それゆえ、担当のキャリアコンサルタントのIT専門知識は総じて高い。総合型の転職エージェントの場合、一応専門ということになっている人が担当してくれるものの、実際には担当者の知識が噛み合わずストレスを感じることがある。レバテックキャリアの場合は基本的にそのような心配はない。業界用語や専門用語もそのまま通じる。

紹介数については大手ほどではないものの、その人の人となりに応じて厳選して求人を紹介するという方針をとっているので、総合型では紹介されない案件を紹介してもらえることも少なくない。志望がIT・Web系と決まっているのであれば、ぜひ活用を検討したいエージェントのうちのひとつだ。

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