転職の掟

転職で後悔しないために知っておきたいこと

転職エージェントのビジネスモデル

      2016/02/15

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なぜ転職エージェントは無料で利用できるのか?

転職エージェントのサービスは手厚い。ただ案件を紹介してくれるだけでなく、キャリア相談にも乗ってもらえるし、職務経歴書の書き方の指導や面接の練習までやってくれる場合まである。こんなに色々とやってくれるのだから、結構なお金がとられるのだろうと思ってしまう人がいる。法律上、転職エージェントは「有料職業紹介事業」に分類されるというのも話をややこしくしている。実際には、どの転職エージェントも求職者は基本的に利用料はかからない。つまり、案件を紹介してもらうのも、相談に乗ってもらうのも、職務経歴書の書き方を教えてもらうのも、面接の指導を受けるのも全部無料だ。

なんでそれで成り立つの?と疑問に思った人がいるかもしれない。しかし、これは転職エージェントのビジネスモデルを考えてみればすぐに理解できる。一言で言うと、転職エージェントは、求職者からではなく企業側からお金を取ることで成り立っているのだ。具体的には、人材を採用したいと考えている企業が転職エージェント側に希望を伝え、その希望に見合った人材を転職エージェントが企業に紹介する。選考の結果、転職エージェントが紹介した人材の入社が確定すると、契約した年俸の一部が転職エージェントに入る。つまり、転職エージェントは転職を成功させれば成功させるほど企業からお金がもらえるので、求職者からはお金をもらう必要はないというわけだ。

なお、余談だが契約成立時に転職エージェントが受け取るフィーはどのエージェントでも日本の場合概ね年俸の3割程度だと言われている。私が人材業界出身者から聞いた話だと、この3割という数字はリクルートがプライスリーダーとなって決定したもので、この点を大幅に値引いて安さで勝負しようというプレイヤーは今のところいないようである。もっとも、価格破壊が起きないおかげで転職者のサポートが手厚い状態で保たれているとも考えられるので、この点は求職者にとってはありがたいと言えるのかもしれない。

あくまで企業側の希望が最優先

以上を踏まえると、転職エージェント側と求職者側は、いずれも転職を成功させることが利益になるので双方にとってwin-winの関係が成立しているように見える。これは部分的には正しく、うまく利用すれば転職エージェントが転職の強い味方になってくれるというのは事実だ。ただし、完全に利害が一致しているというわけではないということには留意する必要がある。この点を注意せずにただエージェントの言いなりになってしまうと、結局転職したあとに後悔したり、自分の希望とは違う会社ばかり紹介されてフラストレーションが溜まることになる。

まず忘れてはならないのは、転職エージェントがもっとも重視する顧客はあくまで企業であり、求職者ではないということだ。転職エージェントは企業の「こういう人材が欲しい」という要求にストレートに答えられる人材を選択し、フィルタリングした上で紹介する。そうやって紹介する人材の質を担保することで、企業側との信頼関係を構築している。そのため、たとえば求職者の「無謀かもしれないけどチャレンジしたい」という要望や、職種をまたぐ転職のようなそもそも保有スキルと企業の求めるスキルがダイレクトにマッチしづらいような要求には基本的に応えようとしない。エージェントに登録しても最初の面談以降サッパリ連絡が来ない、案件がまったく紹介されないという話を耳にすることがあるが、それはまさにミスマッチが発生し、企業側の希望が優先される状態が発生しているからだ。

また、上述のように転職エージェントは転職させてはじめて利益が発生する「転職させてナンボ」の商売だ。「いざ内定を取ったけど、本当に転職しようか会社に残ろうか実は迷っている……」という人には問答無用で転職を勧めてくる。本当に求職者のことを考えているのなら、機械的にそのような判断はしないはずである。仮にあなたの友人が同じ状態だったとしたら迷っていると相談されたら、転職せずに会社に残るという選択肢も一緒に検討するはずだ。逆に、内定辞退を真剣に検討してくれるキャリアコンサルタントがいたとしたら、それはかなりよいコンサルタントだとも考えられる。

キャリアコンサルタントのノルマ

キャリアコンサルタントといえども、別にボランティアで転職支援を行っているわけではない。普通の会社員なので、ノルマもあるし評価もされる。彼らが何で評価されているのかを知っておくのは彼らと付き合う際のよい参考になるかもしれない。

一般的に、キャリアコンサルタントの評価を決める数字は2つ、転職成立数と売上だ。非常にシンプルだが、これを知っておけば彼らにとって何が嬉しくて何が嬉しくないかがすぐわかる。当然だが、内定辞退や転職活動の中断は転職数が下がるので最悪だ。また、単に転職したというだけでなく、売上もKPIに含まれているので可能なかぎり年収が高い企業に転職が決まったほうが彼らは嬉しいということになる。よって、内定を取ったA社とB社のどちからで迷っているとなれば当然年収の高い方をプッシュされるし、そもそも現職の年収が高い人と低い人では年収が高い人のほうが歓迎される(当然、転職先の年収も高いことが想定されるので)。まとめると、「年収が高い企業に早々と転職する人」が彼らにとって理想的な求職者ということになる。

もっとも、そうは言っても人と人の関係なので、中にはこのようなノルマの制約の中、精一杯求職者のために動いてくれる人もいる。自分に合ったキャリアコンサルタントを見つけることが大切だ。

おすすめの転職エージェント

インテリジェンスDODA

求人数は100,000件、そのうち80%は非公開求人。総合型の転職エージェント。規模はリクルートエージェントに次いで2位。キャリアコンサルタントによるサポートは模擬面接を実施してくれるなど他社と比較しても厚い。とりあえずスタンダードに転職を検討するのであれば、まず登録しておきたいうちの一社。

 

私の友人の中にもDODA経由で内定を取った人がいる。率直に印象を聞いてみたところ、「色々とこちらの個人的な相談にも乗ってくれてよかった」ということで満足していた。その後彼は内定を辞退して転職活動を終えるというエージェントとしては不実の結果となったのだが、その時の対応も丁寧でよかったとのことだった。

パソナキャリア

転職エージェントへの参入が後発なため、規模は大手エージェントに比べると小さいものの、キャリアアドバイザーの教育レベルが高いという点でおすすめできるエージェント。

転職エージェントを使っていて嫌な気分になるのは、内定後に強引にクロージングを迫られたり、自らのノルマ達成のために「さっさと転職させてやろう」という魂胆が見えた時だろう。全員がそうだというわけではないが、たとえばリクルートエージェントなどは社風的にもそのような「イケイケ」なエージェントが少なからず在籍する。それに対して、パソナキャリアのエージェントは落ち着いたアドバイザーが多い印象がある。落ち着いて転職活動を進めたいという人にはおすすめできる。

レバテックキャリア

IT・Webエンジニア案件に特化した専門型転職エージェント。求人はすべてIT・Web系。それゆえ、担当のキャリアコンサルタントのIT専門知識は総じて高い。総合型の転職エージェントの場合、一応専門ということになっている人が担当してくれるものの、実際には担当者の知識が噛み合わずストレスを感じることがある。レバテックキャリアの場合は基本的にそのような心配はない。業界用語や専門用語もそのまま通じる。

紹介数については大手ほどではないものの、その人の人となりに応じて厳選して求人を紹介するという方針をとっているので、総合型では紹介されない案件を紹介してもらえることも少なくない。志望がIT・Web系と決まっているのであれば、ぜひ活用を検討したいエージェントのうちのひとつだ。

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