転職の掟

転職で後悔しないために知っておきたいこと

「転職」を意識したことがない会社員は生き残れない

      2016/02/15

今ではもうだいぶ少なくなっているらしいが、「転職」という概念がまったく存在しない会社があるという。そういった旧態依然とした企業では、部署異動やグループ会社への出向という形によるキャリア変更はあるものの、広い意味で会社の外に出る(=転職、独立)というのはそもそも選択肢に入っていない。キャリア面談を行う人事もずっとその人が同じ会社に居続けることを前提に面談を行うし(もっとも、これは日本の会社ならどこでもそうなのかもしれない。会社の外のキャリアまで会社の中で公然と話ができるのは、いまのところインターネット業界ぐらいかもしれない)、社員の側も、定年まで会社に居続ける前提で自身のキャリアを考える。そういう会社で「転職」なんて口にしようものなら大騒ぎになる。「人生をドブに捨てる気か」なんて大げさな反応が帰ってくる。実際に転職を実現した人は、何年も何年も語り継がれることになる。こういう会社では、「同期が転職した」というニュースは、「同期が死んだ」と同じぐらいの重さを持つらしい。

こういう古い業界とは無縁の人は、「何を大げさな。そんな会社あるわけない」と思ったかもしれない。しかし、現実にこういう会社はあるらしい。というのも、大学時代に親しかった友人のひとりがそういう古い体質の企業に入社して、その人づてで聞いた話をもとにこれを書いているからだ。もっとも、聞いたのは7年ぐらい前の話だから、今ではその会社でもさすがにもう少し「転職」という行為が認知されはじめているのかもしれないが。

「40年以上ひとつの会社」の危なっかしさ

大学をストレートで卒業してそのまま新卒で就職すると、22歳で会社に入ることになる。一方で、会社の定年は60歳から65歳。少なくとも、私たちが老人になるころにはもう60歳が定年の会社はほとんど存在していないだろう。むしろ、人口減であるとか医学の進歩であるとかそういった事情を考慮すると、70歳とか75歳とかまで定年が引き上げられる可能性は少なくない。もしかしたら、定年なんて制度自体が消失して死ぬまで会社員をするのが当然という未来が来るかもしれない。

未来の定年が何歳になるかという議論はとりあえず置いておくとしても、新卒の学生がひとつの会社で定年までずっと働き続けるならおよそ40年ぐらいはかかるという計算になる。改めて言うまでのことでもないが、40年という時間は非常に長い。あまりにも長すぎて、普通の人間には予想ができない。いや、普通でない人間だって予想はできないだろう。

たとえば、今から40年前の日本人が、アップルやグーグルといった企業の登場を予想できたとは到底思えない。山一證券が破綻したことも、郵政民営化も、リーマン・ブラザーズの破綻も、JALの会社更生法の適用も、福島原発の事故も、東芝の不適切会計も、予想できたとは思えない。これらはすべて40年以内に起こったことだけど、40年前にこれらを予測して何か対策しようと思ってもそれは絶対に不可能だ。40年という長さは、人間が何かを計画して実行するにはあまりにも長すぎる。もちろん、こういう長いスパンで計画を立てて事業を実行しなければならない物事はあると思うが(たとえば火星有人飛行とか宇宙エレベーターの開発とか)そういうものだって計画はあくまで仮のものであって、予定通りに事が進むことなんてありえない。結局は1年とか3年とかの単位で計画を現実に即して修正していく。いきなり40年というスコープで物事を予測して当てに行くのは、どう考えても現実的ではない。

ところが、企業選びに限ってだけは、この現実的でないやり方でやってみようとする人たちが後を絶たない。新卒で就職する時に「40年たっても絶対につぶれない、将来安泰な企業」を探し、そこに就職して安心する。これは私にはただのギャンブルにしか思えない。確率の問題なので、結果的に運良く40年間逃げきれる人も出てくるとは思う。しかし、それはたまたま運がよかったというだけで、実際には40年働く前に会社がなくなってしまう人たちだってたくさんいるだろうし、会社自体は存続したとしても、自分はリストラにあって会社に残れないというケースはもっと多いだろう。大企業が40年後には全部潰れると予言するのはさすがに乱暴だと私も思うが、主力事業の大転換が起きる可能性は少なくない。その時に、自分にまったく適性がない分野が主力事業になってしまったら、会社で生き残っていくのはかなりつらいのではないかと思う。

「転職」をつねに選択肢に入れておく

40年以上安定して働ける企業を根拠のない情報から無理やり予測するというギャンブルをするぐらいだったら、計画は3年から5年ぐらいにとどめておいて、状況によって臨機応変に対応すると決めたほうが遥かに危険は少ない。いま働いている会社はあくまで現時点で働いている会社ということにして、「転職」はつねに選択肢に入れておくべきだろう。いまの環境に満足しているというのであれば、別に転職活動を始める必要はない。ただ、「転職」という選択肢自体はつねに持ち続けるべきだ。部署異動や景気悪化、経営判断などで職場環境はあっというまに変わってしまう可能性がある。その時に、「じゃあ転職するか」とすぐに外に目を向けられるのと向けられないのとでは、強さがあまりにも違う。

「転職」を意識するということは、会社の外にも目を向けるということと等しい。会社の中だけ見ていると、どうしても価値判断が会社の中というローカルなもので歪められてしまう。他の会社から見ればあまりにもバカげているものも、バカげていると気づくことができない。転職というフィルターを通して会社の外と比較する視点を持つと、自分の会社のイケてない部分が見えてくる。当然ながら、狭い範囲しか見えていない人よりも、広い範囲が見えている人のほうがビジネスパーソンとしても強い。いますぐ転職するかどうかは別として、「転職」という選択肢はつねにもつようにすべきだ。現代においてまったく転職を意識したことがないというようでは、ビジネスパーソンとして生き残れるかどうかすらあやしいと言わざるをえない。

おすすめの転職エージェント

インテリジェンスDODA

求人数は100,000件、そのうち80%は非公開求人。総合型の転職エージェント。規模はリクルートエージェントに次いで2位。キャリアコンサルタントによるサポートは模擬面接を実施してくれるなど他社と比較しても厚い。とりあえずスタンダードに転職を検討するのであれば、まず登録しておきたいうちの一社。

 

私の友人の中にもDODA経由で内定を取った人がいる。率直に印象を聞いてみたところ、「色々とこちらの個人的な相談にも乗ってくれてよかった」ということで満足していた。その後彼は内定を辞退して転職活動を終えるというエージェントとしては不実の結果となったのだが、その時の対応も丁寧でよかったとのことだった。

パソナキャリア

転職エージェントへの参入が後発なため、規模は大手エージェントに比べると小さいものの、キャリアアドバイザーの教育レベルが高いという点でおすすめできるエージェント。

転職エージェントを使っていて嫌な気分になるのは、内定後に強引にクロージングを迫られたり、自らのノルマ達成のために「さっさと転職させてやろう」という魂胆が見えた時だろう。全員がそうだというわけではないが、たとえばリクルートエージェントなどは社風的にもそのような「イケイケ」なエージェントが少なからず在籍する。それに対して、パソナキャリアのエージェントは落ち着いたアドバイザーが多い印象がある。落ち着いて転職活動を進めたいという人にはおすすめできる。

レバテックキャリア

IT・Webエンジニア案件に特化した専門型転職エージェント。求人はすべてIT・Web系。それゆえ、担当のキャリアコンサルタントのIT専門知識は総じて高い。総合型の転職エージェントの場合、一応専門ということになっている人が担当してくれるものの、実際には担当者の知識が噛み合わずストレスを感じることがある。レバテックキャリアの場合は基本的にそのような心配はない。業界用語や専門用語もそのまま通じる。

紹介数については大手ほどではないものの、その人の人となりに応じて厳選して求人を紹介するという方針をとっているので、総合型では紹介されない案件を紹介してもらえることも少なくない。志望がIT・Web系と決まっているのであれば、ぜひ活用を検討したいエージェントのうちのひとつだ。

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